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安心の中野区 一戸建て

GATTと同様に、国際社会全体の緩やかな削減目標(例えば、京都議定書の先進国全体で五%の削減)を設定したあとで、個別分野ごとの少数国の合意を行う。 そしてその決定の集合体を、他国も享受する。
そして、その集積された条約を管理する事務局を設ける。 緩やかな取り決めから始め、次第に整備が進んだら、より詳細で拘束性の強い取り決めを結ぶ。
GATTが発展的に解消したように、強い調整力を持つ国際機関、例えば世界環境機関(WEO)の設置を最終的な目標に設定する。 こうした形にすれば日本はより大きな役割を果たすことができる。
日本には高い能力と技術力を持った国民がいる。 この「知的資源」を使いながら部分的な合意を形成する各場面で、国際的な議論をリードすることができる。
そして、日本の産業界の持つ環境技術を輸出することも可能だ。 京都議定書の方法では、産業界に「上からの削減数値目標」を押しつける形になりやすい。
残念ながら、日本では自主的な取り組みを強調する産業界に対して、同じ民間から批判をする構図がある。 「国民対国民」の対立が京都議定書によって持ち込まれそうな気配だ。
日本の産業界は世界で最も省エネが進んでいるのに、これは不幸な状況だ。 産業界のビジネス上の成功と環境での貢献が一体となれば、日本の利益と世界の公共利益が合致する。

日本には七○年代の自動車産業の成功例がある。 当時、米国は世界に先駆けて自動車の排気ガス規制を行った。
日本のメーカーはそれに合わせて排気ガスの少ない高燃費の車を作り、世界市場での競争力をつけた。 業界ごと、部分ごと、技術ごとに目標が設定されれば、日本の産業界は温室効果ガス削減努力や技術革新を一段と進めるだろう。
政府筋によれば、京都議定書をめぐる議論の中で、「国別の強制的数値目標」ではなく「できることを積み重ねる」という方向に協定をまとめられないかとの検討が各国で行われたという。 これは議定書中に各分野での協力を決めた条文(第二条)の形で残っている。
しかし、この部分はそれほど注目されず、数値目標に関心が移ってしまった。 数値目標のほうが、国際的にインパクトが大きく、GATT方式では目標達成までの時間が長くかかるようにみえたからだろう。
しかし、京都議定書の問題が顕在化した今こそ、このような発想は再評価されるべきではないか。 米国の離脱と日本の温室効果ガス排出量の急拡大という現実を眺めれば、明らかに議定書成立当時と状況は変わった。
ならば、二○一三年以降の枠組みで京都議定書の決めた方式に固執する必要はない。 議定書の持つ理念や長所は評価しつつも、新たな枠組みの構築を提示するべきだ。
米国や途上国が参加でき、合理的で効果のある方法に変えるべきだろう。 京都議定書の見直しは日本の国益にも、世界の公共利益にもかなう。
では、国内では京都議定書をめぐり、どのような対策を進めればよいのか。 議定書の義務が始まる二○○八年が迫る。
日本が採用できる政策の選択肢はいくつかある。 京都議定書の枠組みを維持するならば、次のことが考えられる。

仮に国民が合意し、その付託を受けた政治家が決断するならば、京都議定書による負担を受け入れても仕方がない。 地球温暖化対策推進大綱によれば、二○○四年にこれまでの状況を見直し、第二ステップ期間三○○五,○八年)の政策を決めることになる。
現状の温室効果ガスの急増をみれば、二○○五年からかなり強制力の強い措置が導入されるだろう。 当然の措置として、社会のあらゆる場にあるエネルギー使用の無駄を国民の努力でなくす必要がある。
だが、自発的努力だけに委ね、義務を達成することは困難だ。 森林事業に一兆円以上国民が支出して森林吸収分を確保する。
炭素税を受け入れ、民生・運輸部門のエネルギー消費が減少することを期待する。 ある程度のCO2排出は減るが、経済への影響は不透明だ。
強制的な削減措置、例えば、ある種の家電、産業用機器や乗用車の使用規制が必要となろう。 九○年比一・六%の削減分を確保するため、ロシアが日本にCO2の排出権を安い価格で売るように説得する外交交渉は急務となる。
また、京都メカニズムによる国際協力で、排出権を大量に生み出して価格を下方誘導し、ロシアをけん制することも必要だ。 ロシアに支払う国民の負担の額は現時点では分からない。
だが、日本が国際約束を履行できるか、他国に運命が握られることになる。 また、国際義務違反の状況を放置し、現在検討が進む議定書上の履行措置によって、次の期間により重い削減義務を受けることも考えられる。

ただ、これは地球環境にとっても、日本にとっても問題の解決を先送りすることになる。 同時に、国際的な不名誉を負う。
他国に金銭を支払うことも、日本の国際義務違反も避けるならば、国内だけで削減することも考えられる。 ただ、その場合、一トン当たり四○○ドルと推計される世界で最も高い削減コストを負担しなければならない。
その場合、経済の自損行為により、国民の負担は過剰となるだろう。 そして、日本の負担は他国に比べ際立つ。
ロシアが批准をしない現状を放置し、京都議定書が発効しないまま形骸化することを望む手もある。 もちろん、これは地球環境のためにも、議定書の成立にかかわった日本の立場上も行えない。
私はいずれの選択にも批判的だ。 「上からの数値目標」という京都議定書の形を見直し、「下からの積み上げ」の形に変えることが必要と考える。
それに連動する形で、日本の温室効果ガスを削減する政策も「霞ヶ関」の官庁製のものではなく、「下からの積み上げ」という形に変えることを望みたい。 政治面では国会、地域では地方自治体やコミュニティが合意の集約の場となる。
産業面では業界ごと、企業ごとの合意の集積が考えられる。 それらが相互に共鳴し、積み重なる形で、温室効果ガスの削減を行う。
ただ、これまで眺めたように、CO2の削減には負担が必要だ。 冷静な議論によって、個人や団体が自らの放逸なエネルギー使用を抑制し、権利の制約と負担を合意していく。
そして、エネルギー多消費型の社会が緩やかに転換することを待つ。 進行している技術革新が一段と積み重なることを期待する。

中央政府も調整の場として残るが、政策の中心は地域の住民に委ねるべきだろう。 このような考えは解決までの道筋が遠回りかもしれない。
ただ、京都議定書の枠組みを維持した上での政策よりも、メリットは大きいと考える。 妙策はほかに思い浮かばない。
いずれの道を選ぶにしても、前提となる温室効果ガスをめぐる統計の整備と情報の公開、そしてそこから導かれた負担の公表が必要だ。 そして、そのような情報を前提に、温室効果ガスの排出源である国民一人ひとりの合意を積み重ねなければならない。
ある日突然、負担が強制されたら、その政策に対する国民の共感や支持は得られない。 そのような政策を合意する場が日本では整備されてこなかったように思える。
私を含めた国民の大多数は、エネルギー問題に積極的に関与せず、対価を払ってサービスを利用するだけの単なる「消費者」にすぎなかった。 エネルギーだけではない。
税金の使途、公共工事、道路・交通行政、環境問題でも同じだろう。 地方自治が叫ばれるが、日々の生活に追われ、その地域での活動にも参加してこなかった。


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